「映画のような映像を作りたいけど、どうすればいいの?」そう思ったことはありませんか? 実は、映像の雰囲気を大きく左右する要素の一つに「フレームレート」があります。この記事では、フレームレートを低くすることで得られる独特の映像表現の魅力、いわゆる「映画風」の質感の秘密を紐解きます。低いフレームレートがもたらすノスタルジックな雰囲気、カクカクした動きのリズム感、被写体の強調効果など、そのメリット・デメリットを具体的に解説。タイムラプスやストップモーションといったコマ数減らしを活かした表現技法も紹介します。Final Cut ProやAdobe Premiere Proといった動画編集ソフト、一眼レフカメラ、スマホアプリでのフレームレート調整方法も網羅。読めば、あなたもフレームレートを自在に操り、表現の幅を広げられるはずです。

1. フレームレートの基本と映像への影響
映像の滑らかさや雰囲気を決定づける重要な要素、それがフレームレートです。 このセクションでは、フレームレートの基礎知識から、高い/低いフレームレートそれぞれのメリット・デメリットまで、詳しく解説していきます。
1.1 フレームレートとは何か
フレームレートとは、1秒間に表示される静止画の枚数のことです。単位はfps(frames per second)で表されます。例えば、24fpsであれば1秒間に24枚の静止画が表示されていることを意味します。この枚数が多いほど、映像は滑らかに見えます。
1.2 高いフレームレートのメリット・デメリット
高いフレームレートの代表例として、60fps、120fps、240fpsなどが挙げられます。これらのメリット・デメリットは以下の通りです。

1.3 低いフレームレートのメリット・デメリット
低いフレームレートの代表例として、映画の標準である24fpsや、8fps、12fpsなどが挙げられます。これらのメリット・デメリットは以下の通りです。

フレームレートは映像表現において非常に重要な要素であり、表現したい雰囲気や目的に合わせて適切なフレームレートを選択することが大切です。上記で挙げたメリット・デメリットを踏まえ、最適なフレームレートを選定しましょう。
2. フレームレートを低くすることで得られる映像表現の魅力
フレームレートを低く設定することで、単に動きが滑らかでなくなるだけでなく、様々な映像表現上のメリットが生まれます。意図的にフレームレートを落とすことで、独特の映像の質感や雰囲気、リズム感を演出することが可能になります。ここでは、低いフレームレートがもたらす映像表現の魅力について詳しく解説します。
2.1 映画のような質感の演出
映画の標準フレームレートである24fpsは、高フレームレートの動画に比べて、どこか現実離れした、映画的な質感を与えます。これは、人間の目が現実世界を滑らかな動画としてではなく、断続的な静止画の連続として認識しているため、低いフレームレートの方が脳内で補完される情報が多く、想像力を掻き立てられるためだと考えられています。低いフレームレート特有のわずかなカクつきは、動画に深みと重厚感を与え、映画のような独特の雰囲気を醸し出します。
2.2 ノスタルジックな雰囲気の表現
古い映画やホームビデオは、現代の動画に比べてフレームレートが低いことが一般的です。そのため、低いフレームレートは、ノスタルジックな雰囲気やレトロな印象を表現するのに効果的です。現代の高精細な映像とは異なる、どこか懐かしく温かみのある映像表現が可能になります。例えば、ミュージックビデオなどで過去の時代を表現したい場合などに、意図的に低いフレームレートが用いられることがあります。
2.3 カクカクした動きによる独特のリズム感
低いフレームレートによるカクカクとした動きは、動画に独特のリズム感を与えます。これは、滑らかな動きでは表現できない、独特のビートやグルーヴを生み出すことができます。特にダンスやアクションシーンなど、動きのキレやメリハリを強調したい場合に効果的です。 また、ストップモーションアニメのような表現にも応用できます。
2.4 被写体の動きを強調する効果
低いフレームレートでは、被写体の動きがより強調されます。これは、フレームとフレームの間の動きの変化が大きくなるため、視聴者の目に動きが残りやすく、印象的に映るためです。例えば、スポーツのハイライトシーンなどで、選手のダイナミックな動きを際立たせるために低いフレームレートが用いられることがあります。

上記はあくまで一例であり、フレームレートによる印象は、他の映像要素との組み合わせによっても変化します。シャッタースピードやモーションブラーなどを調整することで、さらに多彩な表現が可能になります。 例えば、低いフレームレートで撮影した映像にモーションブラーを加えることで、動きに滑らかさを加えつつ、独特の雰囲気を保つことができます。それぞれの映像要素の特性を理解し、組み合わせることで、より効果的な映像表現を実現できるでしょう。
3. 意図的なコマ数減らしによる表現技法
意図的にコマ数を減らすことで、独特の映像表現を実現できます。ここでは、代表的な技法をいくつか紹介します。
3.1 タイムラプス撮影
タイムラプス撮影は、一定の間隔で静止画を撮影し、それらを連続再生することで、時間の流れを圧縮して見せる技法です。植物の成長や都市の風景の変化など、長時間かけて起こる変化を短い時間で表現することができます。撮影間隔を長く設定するほど、時間の流れが速く感じられます。
タイムラプス撮影には専用のアプリやカメラの機能が利用できます。設定項目としては、撮影間隔、撮影時間、再生速度などが調整可能です。撮影対象や表現したい効果に合わせて適切な設定を選びましょう。
3.1.1 タイムラプス撮影の活用例
- 植物の成長
- 空の雲の流れ
- 都市の風景の変化
- 星の動き
3.2 ストップモーションアニメーション
ストップモーションアニメーションは、静止している物体を少しずつ動かして撮影し、コマ送りで再生することで、まるで生きているかのような動きを表現する技法です。粘土アニメや人形アニメなどが代表的な例です。コマ撮りとも呼ばれます。1秒間に12コマや24コマなど、フレームレートを調整することで、動きの滑らかさを変化させることができます。フレームレートが低いほど、カクカクとした独特の動きになります。
ストップモーションアニメーションを作成するには、カメラ、三脚、照明器具、そして被写体となる人形や粘土などが必要です。撮影には根気が必要ですが、独特の表現力を持つ魅力的な映像作品を制作できます。
3.2.1 ストップモーションアニメーションの種類
- クレイアニメ(粘土アニメ)
- パペットアニメーション(人形アニメ)
- オブジェクトアニメーション(物体を用いたアニメーション)
- ピクシレーション(人間を被写体としたアニメーション)
3.3 パラパラ漫画風の表現
パラパラ漫画は、ノートなどの紙の端に連続した絵を描き、それをパラパラとめくることで、絵が動いているように見せる表現技法です。これを動画で再現するには、一枚一枚の絵を撮影し、低いフレームレートで連続再生します。パラパラ漫画特有の少しカクカクした動きが、ノスタルジックな雰囲気や手作りの温かみを感じさせます。
デジタル作画ソフトを使ってパラパラ漫画風の動画を作成することも可能です。一枚ずつ描画した画像を動画編集ソフトに取り込み、フレームレートを調整することで、簡単にパラパラ漫画風の表現を実現できます。また、実写でパラパラ漫画風の表現をすることも可能です。
3.3.1 パラパラ漫画風表現のポイント
| ポイント | 詳細 |
|---|---|
| フレームレート | 低いフレームレート(例:5fps〜12fps)で、パラパラ漫画特有のカクカクした動きを表現する |
| 絵の連続性 | 絵と絵の間に適度な変化をつけることで、滑らかな動きを表現する |
| タイミング | 動きに合わせてフレームレートを調整することで、より自然な動きを表現する |
4. フレームレート調整の実践方法
フレームレートの調整は、映像の雰囲気を大きく左右する重要な要素です。ここでは、動画編集ソフト、カメラ、スマホアプリを使ったフレームレートの調整方法を解説します。
4.1 動画編集ソフトの使い方
Adobe Premiere ProやFinal Cut Pro X、DaVinci Resolveなどのプロ向け動画編集ソフトでは、高度なフレームレート調整が可能です。これらのソフトでは、タイムライン上でクリップのフレームレートを変更したり、スローモーションやタイムラプス効果を作成したりすることができます。多くのソフトが可変フレームレートにも対応しており、シーンごとに最適なフレームレートを設定することが可能です。
無料の動画編集ソフトでも、フレームレートの変更が可能なものがあります。例えば、AviUtlやShotcutなどです。これらのソフトは、プロ向けソフトほど高機能ではありませんが、基本的なフレームレート調整には十分対応できます。初心者の方にも使いやすいインターフェースであることが多いので、気軽に試してみることをおすすめします。
4.1.1 フレームレート変更の手順(例:Adobe Premiere Pro)
- プロジェクトに動画を読み込みます。
- タイムラインに動画を配置します。
- クリップを右クリックし、「速度/デュレーション」を選択します。
- 「フレームレート」の値を変更します。
4.2 カメラの設定方法
最近のデジタルカメラやビデオカメラの多くは、撮影時のフレームレートを設定できます。設定方法は機種によって異なりますが、通常はメニュー画面から「動画設定」や「撮影設定」などを選び、フレームレートの項目を変更します。高フレームレートで撮影した映像を後から編集で低フレームレートに変換することも可能です。
一眼レフカメラやミラーレスカメラでは、より詳細なフレームレート設定が可能な場合があります。例えば、24fps、30fps、60fpsといった標準的なフレームレートに加え、120fpsや240fpsといった高フレームレートでの撮影も可能です。これらの高フレームレートは、スローモーション映像を作成する際に役立ちます。

4.3 スマホアプリでの調整
スマートフォンで動画を撮影・編集する際に、フレームレートを調整できるアプリも多数存在します。例えば、iMovieやPowerDirector、KineMasterなどです。これらのアプリでは、撮影時や編集時にフレームレートを変更できます。アプリによっては、特殊効果としてフレームレートを意図的に落とす機能が搭載されている場合もあります。
これらのアプリは直感的な操作でフレームレートを調整できるため、初心者の方でも手軽に利用できます。様々なアプリを試して、自分に合った使い勝手の良いアプリを見つけることをおすすめします。
4.3.1 フレームレート調整の手順(例:iMovie)
- プロジェクトに動画を読み込みます。
- タイムラインで動画を選択します。
- 速度調整ツールを選択します。
- スライダーを操作して速度(フレームレート)を調整します。
これらの方法を参考に、映像の目的に合わせて最適なフレームレートを設定し、より効果的な映像表現を目指しましょう。
5. 様々な映像作品におけるフレームレートの活用例
映像作品の種類によって、最適なフレームレートは異なり、それぞれに特有の表現効果を生み出します。ここでは、映画、ゲーム、ミュージックビデオ、アニメーション、そして近年注目を集めているVR/ARコンテンツにおけるフレームレートの活用例を詳しく見ていきましょう。
5.1 映画における24fpsの標準
映画のフレームレートは、歴史的に24fpsが標準とされています。フィルム映画時代からの名残であり、滑らかすぎない動きが独特の映画らしさを演出します。このわずかなカクつきが、観客に現実世界とは異なる時間感覚を与え、物語への没入感を高める効果があると考えられています。近年では、高フレームレートで撮影・上映する試みもありますが、24fpsは依然として映画界の主流です。
5.2 ゲームにおける高フレームレート化の現状
ゲームの世界では、より滑らかな描写とリアルタイムでの反応速度が求められるため、高いフレームレートが重要視されます。60fpsは標準的なフレームレートとされており、さらに120fpsや144fpsといった高フレームレート対応のディスプレイも普及しています。特にFPSや格闘ゲームなど、瞬時の判断が求められるゲームでは、高フレームレートがプレイヤーの反応速度向上に大きく貢献します。また、高フレームレートはVRゲームにおいても重要な要素であり、没入感と快適性を向上させます。
5.3 ミュージックビデオにおける表現手法
ミュージックビデオでは、楽曲の世界観やアーティストの表現意図に合わせて、様々なフレームレートが用いられます。24fpsで映画のような重厚な雰囲気を演出したり、60fps以上の高フレームレートで滑らかなダンスシーンを表現したり、楽曲のリズムに合わせて意図的にフレームレートを変化させるなど、多様な表現技法が用いられています。スローモーションやタイムラプスといった特殊効果もフレームレート操作によって実現され、映像表現の幅を広げています。
5.4 アニメーションにおけるフレームレートの多様性
アニメーション制作においては、表現スタイルや予算に応じてフレームレートが選択されます。日本のテレビアニメでは、12fpsまたは24fpsが主流ですが、劇場版アニメーションでは24fpsが一般的です。また、滑らかな動きを表現するために、30fpsや60fpsで制作される場合もあります。近年では、3DCGアニメーションの普及により、より高いフレームレートでの制作も可能になっています。
5.5 VR/ARコンテンツにおける高フレームレートの重要性
VR(仮想現実)やAR(拡張現実)コンテンツでは、ユーザーの没入感と快適性を高めるために、高いフレームレートが不可欠です。低いフレームレートでは、映像の遅延やカクつきが発生し、VR酔いを引き起こす可能性があります。一般的に、90fps以上が推奨されており、より快適なVR/AR体験を実現するために、さらなる高フレームレート化が進められています。

このように、フレームレートは映像作品の種類や表現意図によって最適な値が異なり、映像の質感や視聴体験に大きな影響を与えます。それぞれの特性を理解し、効果的に活用することで、より魅力的な映像表現が可能になります。
6. フレームレートとその他の映像表現要素との関係
フレームレートは単独で映像の印象を決定づけるものではなく、他の映像表現要素と複雑に絡み合い、最終的な映像の見え方を決定します。ここでは、特に重要な要素との関係性について解説します。
6.1 シャッタースピードとの関連性
シャッタースピードは、カメラのセンサーが光を取り込む時間の長さを指します。フレームレートとシャッタースピードは密接に関係しており、適切なバランスを取ることで、映像の滑らかさやモーションブラーの量を調整できます。
一般的には、シャッタースピードはフレームレートの逆数の2倍に設定することが推奨されます。例えば、24fpsで撮影する場合、シャッタースピードは1/48秒が適切とされます。この関係性を「180度ルール」と呼びます。
シャッタースピードを速くすると、動きの速い被写体もくっきりと写りますが、モーションブラーが少なくなり、やや不自然な印象になる場合があります。逆に、シャッタースピードを遅くすると、モーションブラーが増え、滑らかで映画的な印象になりますが、被写体がブレやすくなります。
| シャッタースピード | 効果 |
|---|---|
| 速い | 被写体くっきり、モーションブラー少ない |
| 遅い | モーションブラー多い、被写体ブレやすい |
6.1.1 180度ルールの例外
180度ルールはあくまでも目安であり、意図的に破ることで独特の映像表現を実現することも可能です。例えば、スポーツ中継などでシャッタースピードを速くすることで、選手の動きをより鮮明に捉えることができます。また、ミュージックビデオなどでシャッタースピードを遅くすることで、幻想的な雰囲気を演出することも可能です。
6.2 モーションブラーとの関連性
モーションブラーとは、動いている被写体がブレて見える現象のことです。モーションブラーの量は、シャッタースピードと被写体の移動速度によって決まります。フレームレートが低い場合、1フレームあたりの被写体の移動量が大きくなるため、モーションブラーが目立ちやすくなります。
モーションブラーは、映像に滑らかさや動的な印象を与える効果があります。しかし、過度なモーションブラーは映像を見にくくするため、適切な量に調整することが重要です。フレームレートとシャッタースピードを調整することで、モーションブラーの量をコントロールできます。
6.3 解像度との関連性
解像度は、映像の精細さを表す指標です。一般的に、解像度が高いほど映像は精細に見えます。フレームレートと解像度は直接的な関係はありませんが、高解像度で高フレームレートの映像を再生するには、高い処理能力が必要です。そのため、高解像度と高フレームレートを両立させるには、高性能なカメラや編集ソフトが必要になります。
また、フレームレートが低い場合、解像度が低くても比較的滑らかな映像に見えます。これは、フレームレートが低いことで1フレームあたりの情報量が少なくなり、処理負荷が軽減されるためです。逆に、フレームレートが高い場合、解像度が低いと映像がカクカクして見えてしまうことがあります。
これらの要素を理解し、適切に調整することで、表現したい映像に最適な設定を見つけることができます。映像制作においては、フレームレートだけでなく、シャッタースピード、モーションブラー、解像度など、様々な要素を考慮することが重要です。
7. まとめ
この記事では、フレームレートを低くすることで得られる映像表現の魅力について解説しました。低いフレームレートは、映画のような質感やノスタルジックな雰囲気を演出し、独特のリズム感や被写体の動きの強調といった効果をもたらします。タイムラプスやストップモーションアニメーションなど、意図的なコマ数減らしは様々な表現技法に活用されています。動画編集ソフトやカメラ、スマホアプリでフレームレートを調整することで、表現の幅を広げることが可能です。映画の24fps標準に見られるように、フレームレートは映像表現において重要な要素であり、シャッタースピードやモーションブラー、解像度との関連性も理解することで、より効果的な映像制作が可能になります。

