TikTokやInstagramなどのSNSで短い動画を活用したPRは、企業にとって効果的なマーケティング手法ですが、著作権侵害による炎上リスクも潜んでいます。動画のBGMや素材、出演者、さらには切り抜きやリポストなど、PR担当者が意外と見落としがちな著作権問題を理解していないと、企業イメージの低下や訴訟に発展する可能性も。この記事では、PR担当者向けに、短い動画における著作権侵害で炎上する具体的なケースや、著作権の基本知識、BGMや動画素材の権利処理、違法アップロード動画の使用リスク、引用の要件、さらには企業アカウントの炎上事例などを解説します。また、動画投稿前に確認すべきチェックリストや、著作権を守るための動画制作・投稿フローも紹介。この記事を読むことで、短い動画の著作権問題を理解し、安全かつ効果的なPR活動を実現するための知識と対策を習得できます。安心して動画マーケティングに取り組めるよう、著作権リスクを回避し、企業のブランドイメージを守りましょう。

1. 短い動画の著作権侵害で炎上するケースとは
近年のSNSマーケティングにおいて、TikTokやInstagramなどのプラットフォームで短い動画を活用する企業が増えています。しかし、動画制作・配信にあたって著作権への意識が低いままコンテンツを投稿し、企業イメージを損なう炎上事例も後を絶ちません。PR担当者として、どのようなケースで著作権侵害が発生し、炎上につながるのかを理解しておくことは非常に重要です。
1.1 無断使用で訴訟リスクも!BGMの著作権
動画の雰囲気を盛り上げるBGM。実は著作権侵害で最もトラブルになりやすい要素の一つです。無許可で市販の楽曲や他者が制作した音楽を使用すると、著作権侵害となり、損害賠償請求や訴訟に発展する可能性があります。たとえ短い動画であっても、BGMの使用には注意が必要です。
1.1.1 JASRACへの登録状況を確認
JASRAC(日本音楽著作権協会)は、音楽著作権の管理団体です。動画で使用するBGMがJASRACに登録されている場合は、利用許諾手続きが必要です。JASRACのウェブサイトで楽曲の登録状況を確認し、必要な手続きを行いましょう。無許可で使用すると、著作権侵害となる可能性があります。
1.1.2 著作権フリー音源の利用
著作権フリー音源は、利用許諾手続きなしで使用できる便利な音源です。しかし、「フリー」だからといって、すべての音源が自由に使えるわけではありません。利用規約をよく確認し、商用利用が可能か、加工して使用できるかなどを事前に確認することが重要です。無料のフリー音源サイトだけでなく、有料のサイトでもクオリティの高い音源が提供されています。予算に合わせて適切な音源を選びましょう。
1.2 意外と見落としがちな動画素材の著作権
BGMだけでなく、動画素材自体にも著作権が存在します。有名人の動画やアニメのワンシーン、市販の動画編集ソフトに含まれる素材など、安易に使用すると著作権侵害となる可能性があります。権利処理がされている素材かどうか、使用範囲はどこまでかなどを確認しましょう。
1.2.1 有名人の動画やアニメのワンシーン
有名人が出演する動画やアニメのワンシーンを無断で使用することは、肖像権や著作権の侵害にあたります。たとえ数秒間の使用であっても、権利者の許可なく使用することはできません。
1.2.2 市販動画編集ソフトの素材利用
市販の動画編集ソフトには、様々な動画素材やエフェクトが付属している場合があります。これらの素材は、ソフトの利用規約に基づいて使用することができます。商用利用が制限されている場合もあるので、規約をよく確認しましょう。
1.3 違法アップロード動画の使用にも要注意
YouTubeなどの動画共有サイトに違法にアップロードされた動画を使用することも著作権侵害にあたります。たとえ元の動画が著作権侵害であっても、その動画を二次利用することは違法です。
1.3.1 切り抜き動画の著作権問題
他者の動画の一部を切り抜いて使用する場合、著作権法上の「引用」として認められるためには一定の要件を満たす必要があります。単なる切り抜きではなく、独自の解説や批評を加えるなど、元の動画に新たな価値を付加する必要があります。
1.3.2 リポスト機能にも潜む著作権リスク
InstagramなどのSNSには、他者の投稿を自分のアカウントで共有できる「リポスト」機能があります。リポスト機能を使用する場合でも、元の投稿者の許可を得ることが必要です。プラットフォームの規約によっては、リポストが著作権侵害とみなされる場合もあります。
これらのケース以外にも、著作権侵害となるケースは多岐にわたります。常に著作権に配慮した動画制作を心がけ、疑問点があれば専門家に相談することが重要です。
2. PR担当者が知っておくべき短い動画の著作権基礎知識
短い動画の活用は、企業のPR活動において欠かせないものとなっています。しかし、動画制作や配信には著作権に関する知識が不可欠です。著作権を侵害すると、企業イメージの低下や訴訟リスクなど、大きな損害につながる可能性があります。この章では、PR担当者が知っておくべき著作権の基礎知識を解説します。
2.1 著作権とは何か?保護される権利
著作権とは、著作物に対する権利のことです。著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と定義されています(文化庁 著作権法の概要)。具体的には、小説、音楽、絵画、写真、映画、コンピュータプログラムなどが該当します。著作権は、著作者の死後50年間保護されます。
著作権には、大きく分けて「著作者人格権」と「著作財産権」の2種類があります。著作者人格権は、著作者の精神的な利益を守る権利で、公表権、氏名表示権、同一性保持権が含まれます。著作財産権は、著作者の経済的な利益を守る権利で、複製権、上演権、演奏権、公衆送信権、口述権、展示権、頒布権、譲渡権、貸与権、翻訳権、翻案権などが含まれます。
2.2 著作権侵害となる行為
著作権で保護されている著作物を、権利者の許諾なく利用することは、著作権侵害となります。具体的には、以下のような行為が著作権侵害に該当します。
2.2.1 複製権・上映権・公衆送信権など
複製権とは、著作物を複製する権利です。例えば、動画をコピーしたり、ダウンロードしたりすることは複製権の侵害にあたります。上映権とは、映画などの著作物を上映する権利です。公衆送信権とは、著作物を公衆に送信する権利で、インターネット上で動画を配信することもこれに該当します。他にも、改変、翻訳、翻案なども著作権侵害となる可能性があります。

2.2.2 短い動画でも著作権は発生する
動画の長さに関係なく、著作権は発生します。数秒の短い動画でも、著作物として認められる場合には著作権が発生し、無断で使用すれば著作権侵害となる可能性があります。「短いから大丈夫」という認識は誤りです。
2.3 著作権法で認められる例外規定
著作権法には、一定の条件下で著作物を無断で使用できる例外規定が設けられています。主な例外規定として、引用と私的使用があります。
2.3.1 引用の要件と注意点
引用とは、自分の著作物の中に、他人の著作物の一部を組み込むことです。「公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるもの」でなければなりません(著作権情報センター 引用)。引用を行う場合は、出所の明示が必要です。また、引用部分が従であること、主従関係が明確であること、改変しないことなどの要件も満たす必要があります。
2.3.2 著作権者の許諾を得る方法
著作物を利用する最も確実な方法は、著作権者から許諾を得ることです。許諾を得るには、著作権者に直接連絡するか、著作権管理団体に問い合わせる必要があります。JASRAC(日本音楽著作権協会)やNexTone(ネクストーン)などの著作権管理団体は、著作権者から著作権管理の委託を受けており、利用許諾手続きを代行しています。使用料が発生する場合もあるため、事前に確認しましょう。
3. 事例から学ぶ!短い動画の著作権問題
短い動画の著作権侵害は、企業のPR活動において大きなリスクとなります。実際に起きた事例を学ぶことで、同様のトラブルを未然に防ぎましょう。
3.1 企業アカウントの炎上事例
ある飲料メーカーが、新商品のPR動画をTikTokに投稿しました。動画内で使用されたBGMは、人気アーティストの楽曲を無断で使用したものでした。この動画は瞬く間に拡散されましたが、著作権侵害を指摘する声が多数寄せられ、炎上騒動に発展。企業は謝罪文を掲載し、動画を削除する事態となりました。結果的に、新商品のイメージダウンにも繋がり、大きな損害を被りました。無許可で人気楽曲を使用することは、大きなリスクを伴います。
3.2 個人の投稿が企業イメージに影響するケース
あるアパレル企業で働く従業員が、勤務中に社内で撮影した動画をInstagramに投稿しました。動画内には、許可なく他の従業員や、著作権で保護された楽曲が使用されていました。この動画が拡散され、プライバシー侵害や著作権侵害を指摘する声が上がり、企業のイメージが大きく損なわれました。企業は、従業員への指導を徹底し、再発防止策を講じることとなりました。従業員の個人的なSNS投稿であっても、企業イメージに大きな影響を与える可能性があります。

これらの事例から、短い動画であっても著作権侵害のリスクがあり、企業は適切な対策を講じる必要があることが分かります。著作権に関する正しい知識を持ち、動画制作・投稿フローを整備することで、リスクを最小限に抑え、効果的なPR活動を実現しましょう。
4. 動画投稿前に確認!著作権チェックリスト
短い動画の投稿前に、著作権侵害を起こさないために、以下のチェックリストを活用しましょう。著作権に関するトラブルは、企業イメージの低下や損害賠償に繋がる可能性があります。事前の確認を徹底することで、リスクを最小限に抑え、安全な情報発信を実現しましょう。
4.1 BGMの著作権
4.1.1 JASRACへの登録状況を確認
動画で使用するBGMがJASRAC(日本音楽著作権協会)に登録されているか確認しましょう。登録されている場合は、適切な手続きを経て利用許諾を得る必要があります。JASRACのウェブサイトで楽曲の検索が可能です。
4.1.2 著作権フリー音源の利用
著作権フリー音源を利用する場合でも、利用規約をよく確認しましょう。「無料」であっても、商用利用が禁止されていたり、クレジット表記が必要な場合があります。利用規約を守らないと、著作権侵害となる可能性があります。
4.1.3 YouTubeオーディオライブラリ
YouTubeが提供するオーディオライブラリには、著作権フリーで利用できるBGMが多数収録されています。YouTubeでの動画投稿だけでなく、他のプラットフォームでも利用できる音源もあります。利用規約は音源ごとに異なるため、必ず確認しましょう。
4.2 動画素材の著作権
4.2.1 有名人の動画やアニメのワンシーン
有名人の動画やアニメのワンシーンを無断で使用することは、肖像権や著作権の侵害にあたります。たとえ短い動画でも、無断使用は絶対に避けましょう。
4.2.2 市販動画編集ソフトの素材利用
市販の動画編集ソフトに付属している素材であっても、利用範囲が制限されている場合があります。商用利用が禁止されている場合もあるので、必ず利用規約を確認しましょう。
4.2.3 フリー素材サイトの利用
フリー素材サイトを利用する場合は、サイトごとに利用規約が異なるため、必ず確認が必要です。商用利用可、改変可など、条件が細かく設定されている場合もあります。いらすとやのような有名なフリー素材サイトも、利用規約が存在します。
4.3 投稿プラットフォームの規約
TikTok、Instagram、YouTubeなど、各プラットフォームには独自の著作権に関する規約があります。各プラットフォームの規約を熟読し、遵守することが重要です。例えば、Instagramでは音楽の使用に関して特定のガイドラインが設けられています。また、TikTokでは特定の音源の使用が推奨されています。
4.4 出演者・撮影場所の許諾
4.4.1 出演者の許諾
動画に出演する人物がいる場合は、必ず出演許諾を得ましょう。特に、顔がはっきりと映っている場合は、肖像権への配慮が必要です。未成年者が出演する場合は、親権者の同意も必要です。
4.4.2 撮影場所の許諾
商業施設や私有地などで撮影を行う場合は、事前に撮影許可を得る必要があります。許可なく撮影した場合、トラブルに発展する可能性があります。

これらのチェック項目を網羅的に確認することで、著作権に関するリスクを軽減し、安心して動画を投稿できます。
5. 著作権を守るための動画制作/投稿フロー
短い動画の著作権侵害を防ぎ、企業のブランドイメージを守るためには、動画制作・投稿の各段階で著作権に関する適切な対応が必要です。企画段階から投稿後まで、一貫した著作権管理フローを確立することで、リスクを最小限に抑え、安心して動画マーケティングに取り組むことができます。
5.1 企画段階での著作権クリアランス
動画制作の企画段階では、使用する予定のBGM、動画素材、フォントなどについて著作権の有無を確認し、必要な場合は権利処理を行います。曖昧なまま制作を進めると、後々大きな問題に発展する可能性があります。特に、商用利用を想定した動画制作においては、著作権クリアランスは必須です。
5.1.1 BGMの著作権確認
動画に使用するBGMは、著作権フリーの音源サイトを利用するか、JASRACなどの著作権管理団体に利用申請を行う必要があります。無料のBGMであっても、商用利用が禁止されている場合があるので、利用規約をよく確認しましょう。また、YouTubeオーディオライブラリのようなプラットフォーム独自の音楽ライブラリを活用するのも有効な手段です。
5.1.2 動画素材の著作権確認
動画素材についても、著作権フリーの素材サイトや有料のストックフォトサービスを利用する、もしくは自分で撮影したオリジナル素材を使用するなど、著作権をクリアした素材を使用することが重要です。他者の著作物を無断で使用すると、著作権侵害に該当する可能性があります。
5.1.3 フォントの著作権確認
動画内で使用するフォントにも著作権が存在します。商用利用可能なフォントを使用するか、必要なライセンスを取得しましょう。フリーフォントであっても、商用利用が制限されている場合があるので注意が必要です。
5.2 動画素材選定時の注意点
動画素材を選定する際には、著作権だけでなく、肖像権やプライバシー権にも配慮する必要があります。人物が登場する場合は、必ず本人から使用許諾を得ましょう。また、公共の場での撮影であっても、個人が特定できるような形で撮影・公開することは避けるべきです。
5.2.1 肖像権・プライバシー権への配慮
街頭インタビューやイベントの様子を撮影する場合、映り込む可能性のある通行人や参加者には事前に撮影の旨を伝え、同意を得ることが重要です。また、撮影した動画を公開する際には、個人が特定できないように配慮する必要があります。肖像権やプライバシー権の侵害は、大きなトラブルに発展する可能性があるので、十分な注意が必要です。
5.2.2 ロケ地撮影の注意点
商業施設や私有地で撮影を行う場合は、事前に管理者や所有者の許可を得る必要があります。許可なく撮影を行うと、不法侵入や建造物侵入罪に問われる可能性もあります。また、撮影許可を得ていても、施設の利用規約に反する行為は避けなければなりません。
5.3 投稿前の最終確認事項
動画を投稿する前に、以下の項目を最終確認することで、著作権侵害のリスクを最小限に抑えることができます。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| BGMの著作権 | 使用しているBGMの著作権はクリアしているか?利用規約に違反していないか? |
| 動画素材の著作権 | 使用している動画素材の著作権はクリアしているか?肖像権やプライバシー権への配慮は十分か? |
| 投稿プラットフォームの規約 | 投稿先のプラットフォームの規約に違反していないか?動画のサイズや形式、禁止事項などを確認する。 |
| 出演者・撮影場所の許諾 | 出演者から肖像権の使用許諾は得ているか?撮影場所の許可は得ているか? |
これらの確認事項をリスト化し、動画制作・投稿フローに組み込むことで、著作権に関するトラブルを未然に防ぎ、安全に動画マーケティングを実施することができます。著作権に関する知識を深め、適切な対応を心がけることが、企業のブランドイメージを守る上で重要です。
6. まとめ
この記事では、PR担当者に向けて、TikTokやInstagramなどのプラットフォームで使用する短い動画における著作権問題について解説しました。BGM、動画素材、違法アップロード動画の使用など、著作権侵害につながるリスクを理解し、適切な対応をすることが重要です。特にBGMはJASRACへの登録状況を確認したり、著作権フリー音源を利用することでリスクを回避できます。動画素材も有名人の動画やアニメのワンシーン、市販動画編集ソフトの素材を無断で使用することは著作権侵害となる可能性があります。また、違法アップロード動画の切り抜きやリポストにも著作権リスクが潜んでいます。
著作権の基本的な知識として、複製権や公衆送信権など、保護される権利を理解しておく必要があります。短い動画でも著作権は発生し、例外規定である引用を利用する場合も要件を満たす必要があります。著作権者の許諾を得る方法も把握しておくことが重要です。企業アカウントの炎上事例や個人の投稿が企業イメージに影響するケースなども踏まえ、動画投稿前に著作権チェックリストを活用し、BGM、動画素材、投稿プラットフォームの規約、出演者・撮影場所の許諾などを確認しましょう。企画段階から著作権クリアランスを行い、動画素材選定時や投稿前の最終確認まで、適切な著作権対策を講じることで、安全な動画制作・投稿フローを確立し、企業のブランドイメージを守りましょう。

